クリエイティブ業務の内製化を進める中で、「やってみたい」「学びたい」という姿勢を持つ人材との出会いを重視している株式会社けやき出版。代表の小崎奈々子氏に、実際のプロジェクト事例を交えながら、デジタルハリウッドの求人プラットフォーム「JSS」に感じた親和性や、これから出会いたい人材像について伺いました。

― まずは御社の事業内容や、大切にしているビジョンについて教えてください。
弊社は創業から45年を迎える出版社で、これまで多摩地域に特化した出版活動を行ってきました。「東京=23区」というイメージがありますが、吉祥寺から西側にある多摩エリアにも、まだまだ知られていない魅力が数多くあります。そうした魅力を発信するため、地元の方々の出資によって弊社が設立されました。
現在は出版事業に加えて、広告制作や拠点運営なども展開しており、紙に限らず、WebやSNS、動画などを通じて“編集の力”で地域の魅力を届けています。記念誌・イベント・動画制作を一括で手がけるなど、複合的なプロジェクトも増えています。

― 人材に対して、どのような考えをお持ちですか。
私が代表に就任する以前は、クリエイティブ業務のすべてを外注していました。しかし就任後は「社内でも担える体制をつくりたい」という思いが強くなり、少しずつ内製化を進めてきました。
採用する人材は「何ができるか」よりも「何をやりたいか」「どうなりたいか」といったポテンシャルを重視しています。実務経験の有無よりも意欲を大切にしており、スキルがなくても、本人の努力次第でできるようになると信じているからです。実際に「入社までにデザインを勉強してきてね」とお願いしたところ、InDesignを習得して入社してくれた方もいました。
本当にやりたい人は、学ぶし、身につけるし、できるようになる。だからこそ私たちは「何かを得たいと思うなら、自分の時間を最大限に使って努力できるかどうか」を大切にして人材を採用しています。
― デジタルハリウッドの在校生・卒業生専用の求人プラットフォーム『Job Style Search(JSS)』を利用しようと思った理由を教えてください。
まず、デジハリの方々って“いい人”が多いんです。実務未経験でも、「やってみたい」「学びたい」という姿勢があれば大歓迎というのが、私たちの基本スタンス。そうした考えと、デジハリの受講生・卒業生の方々の雰囲気がとても合っていました。
たとえば「動画はやったことがあるけど紙は未経験」「Webは触ったことがあるけど動画もやってみたい」といった方でも、好奇心や柔軟性がある方は大歓迎です。
このように“学びたい・やってみたい”という姿勢を持った方が多い印象があったので、JSSには親和性を感じました。
― 実際に、受講生・卒業生との交流で印象的だったことはありますか。
はい、ローカルワークデザイン講座などでもご一緒しましたし、現在も、地域に関わりたい人たちが集まる「BALL.メンバーズ」のメンバーとして参加してもらい、行政と連携した動画制作や企画、撮影、時には出演まで、一緒に取り組んでいます。
お花見やバーベキュー、花火大会など、立川の魅力を感じられるイベントのお知らせをSlackで呼びかけると、すぐに集まってくれるんです。そうしたラフな誘いに自然と人が集まるのは、都内ではなかなか難しいこと。だからこそ、この地域ならではの関係性や空気感があるのだと感じています。

― デジハリの受講生・卒業生に共通して感じる魅力はありますか。
一言で言えば「素直」です。アドバイスに対してとても前向きで、言われたことをそのままではなく、自分の中にきちんと落とし込んで実践してくれるんです。
それから「自信がない」と言う方が多いのですが、私はむしろそれが良いことだと思っています。自信がないからこそ努力するし、周囲に気を配れる。結果的に成長のスピードが速く、人間関係も丁寧に築いていけるんですよ。そうした素直さと吸収力があれば、たとえ実務未経験でも活躍できると感じています。
― スキルや経験以外に、仕事を通じて大切にしていることは何ですか。
私はいつも「課題解決がクリエイティブの本質」だと伝えています。自己表現も大切ですが、それが誰かの役に立たなければ意味がありません。
「この人のために何ができるか」を考えられる人が、結果的に信頼されて選ばれる。営業も同じで、お願いする前に「自分から何を差し出せるか」を考えることが大切だと思っています。
― 今後、どんな人と一緒に働きたいと考えていますか。
今のチームには素直で真面目な人が多いのですが、今後はその間に立って橋渡しができるような「察する力がある人」が必要だと感じています。
能力の高さよりも「気づけるかどうか」が大事です。誰かが困ってそうだなと感じたときに、自然と動けるような人。そういう人がチームを支えてくれるんだと思います。
― 最後に、人材を探している企業へメッセージをお願いします。
「クリエイティブが必要ない会社はありません」と、声を大にして言いたいです。PRや広報の専門部署がない小さな会社こそ、動画やデザインができる人材が一人いるだけで大きな変化が起きます。
ただ、多摩地域は製造業が多く、形のあるモノにしか価値を感じにくい傾向があります。だからこそ、成果の見える事例を私たちがつくって、クリエイティブの価値を発注者側にも伝えていく必要があると感じています。
そして採用においても「この人はこれができるからこれを任せよう」ではなく「この人の可能性はどこにあるか?」という視点を持つことが、これからの時代には本当に大切になってくると思います。
